2019 年 44 巻 1 号 p. 70-76
症例は78歳女性.腹壁の膨隆を主訴に近医受診し腹壁ヘルニア嵌頓の疑いで当院紹介となる.来院時,右腹部に発赤を伴う鶏卵大の腫瘤を触知し,腹部CTで横行結腸癌による腹壁膿瘍,腹壁浸潤疑いおよび十二指腸浸潤疑いと診断した.感染コントロールのため膿瘍穿刺,抗生剤加療を行った.下部消化管内視鏡では横行結腸に全周性の1型腫瘤を認め生検でGroup5 tub2を指摘された.上部消化管内視鏡では十二指腸下行脚に壁外からの腫瘍の浸潤を認めた.以上より大腸癌 T type1 circ 120×110mm tub2 cT4b(SI 十二指腸,腹壁)cN0 cM0 cStage Ⅱと診断した.右半結腸切除,D3郭清,腹壁および十二指腸合併切除を施行することによりR0切除を得ることが出来た.報告されている結腸癌十二指腸浸潤症例においても,根治度A手術により長期生存が得られており,治癒切除が可能であれば拡大切除を積極的に検討すべきと考えられた.