2019 年 44 巻 2 号 p. 244-249
症例は68歳,男性.58歳時に,慢性硬膜下血腫に対するドレナージ目的で硬膜下腔-腹腔短絡術(S-Pシャント術)を施行された.術後10年が経過した2016年4月に,発熱を主訴に来院した.腹部CT検査でS-Pシャントチューブの下行結腸穿通,頭部MRI検査で右前頭葉脳膿瘍・右硬膜下膿瘍を指摘された.脳膿瘍・硬膜下膿瘍の原因はシャントチューブを通じた腸内細菌の逆行性感染と考えられた.全身状態不良のために二期的手術の方針とし,第1回手術で右前頭葉脳膿瘍・右硬膜下膿瘍に対して開頭脳膿瘍・硬膜下膿瘍摘出術,シャントチューブ感染に対して中枢側のチューブ抜去を行った.第2回手術で,腹腔鏡下に腹腔側のチューブ抜去,穿通部の閉鎖を施行した.術後は良好に経過し,転院となった.上記の治療戦略により,安全な治療が施行でき,良好な経過が得られた.