2019 年 44 巻 4 号 p. 680-686
患者は55歳,女性.S状結腸癌,癒着性イレウスに対して開腹手術歴あり.嘔吐を主訴に当院救急外来を受診した.胸腹部CTで左横隔膜の一部欠損,胃の胸腔への脱出,捻転を認めた.Bochdalek孔ヘルニア,胃軸捻転症と診断し,ヘルニア修復術および胃固定術を腹腔鏡下で行う方針とした.まず胃の腹腔内への還納を試みたが,癒着が強固であり,剝離および還納は困難であった.そのため腹腔鏡下胃固定術のみを行う方針とした.嘔吐の直接の原因と考えられた胃軸捻転症に対して,体外結紮により胃体部前壁を腹壁に固定し手術を終了した.現在,術後6カ月が経過しており,嘔吐の症状なく経過している.比較的稀な胃軸捻転症を合併した成人Bochdalek孔ヘルニアを経験し,腹腔鏡下手術を施行したので若干の文献的考察を加えて報告する.