2019 年 44 巻 4 号 p. 844-849
症例は78歳男性.主訴は腹部膨隆.前医にて胃癌,胆石症に対し開腹下手術歴があり,腹壁瘢痕ヘルニアのため定期診察されていた.ヘルニア門辺縁の腹壁に単純CTで3cmの充実性腫瘤を指摘されたが,経過観察となっていた.しかし,1年後の単純CTで腫瘤径が11cmと増大したため,当科紹介となった.術前に施行した18F-fluorodeoxy glucose positron emission tomography(以下,FDG-PET)で腹壁腫瘤のstandard uptake value maxは1時間値 4.6,2時間値 6.2と異常集積を認め,急速増大を示していたことからも小腸GISTや胃癌の腹壁播種などの悪性腫瘍が鑑別に挙げられた.悪性を念頭に置いた腫瘍摘出術およびメッシュによる腹壁瘢痕ヘルニア修復術を施行した.病理組織診断では腹壁デスモイド腫瘍の診断であった.本例では,腫瘍の急速増大,FDG-PETでの大きい集積増加率が見られたことから,術前診断において悪性腫瘍との鑑別が困難であった.