日本外科系連合学会誌
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症例報告
リンパ節転移を伴った胃GISTの1例
髙田 直樹渡部 通章高野 裕太大熊 誠尚矢永 勝彦
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2020 年 45 巻 1 号 p. 14-20

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抄録

症例は74歳女性.胃癌検診で行った上部消化管内視鏡検査で隆起性病変を指摘され当院紹介.同検査では噴門部の頂部に潰瘍を伴った粘膜下腫瘍を認め,病理組織学検査でGISTと診断された.CTでは腫瘍近傍のリンパ節に最大径8mmの腫大を認めた.胃GISTに対し開腹噴門側胃切除術,空腸間置術を行った.術中所見で肝転移,腹膜播種は認めなかった.術前CTで指摘された腫瘍近傍のリンパ節(#1,#7)の術中迅速診断を行ったところ,#1リンパ節に転移を認めたため,リンパ節のpick-up郭清も追加した.腫瘍は大きさ40×40×32mm,免疫組織染色でc-kit陽性,CD34陽性でGISTと診断した.摘出リンパ節16個の内2個に転移を認めた.現在術後3年を経過し無再発で補助化学療法を施行中である.GISTは肝転移や腹膜播種がしばしば認められるが,リンパ節転移は稀であり,文献学的考察を含めて報告する.

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