日本外科系連合学会誌
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臨床経験
直腸間膜を仙骨に固定する簡便な腹腔鏡下直腸固定術による排便障害の増加
馬渡 俊樹福島 亘所 智和真鍋 高宏宮永 章平堀川 直樹藪下 和久
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2020 年 45 巻 1 号 p. 7-13

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抄録

目的:直腸間膜をらせん型金属ステープルにて仙骨に直接固定する腹腔鏡下直腸固定術(以下本術式)の手術成績につき検討する.方法:当院(高岡市民病院外科)では完全直腸脱に対し,2013年7月から2018年3月までの間に,本術式を11例に施行した.全身麻酔が可能で,脱出腸管長が3cm以上を適応とした.これらの症例の手術成績を検討した.結果:症例は全例女性,中央値で,年齢は80歳(68~93歳),脱出腸管長は3.5cm(3~15cm),手術時間は160分(116~285分),術後在院日数は8日(6~11日)であり,術後合併症は認めなかった.便秘や頻便などの術後の排便障害を7例(64%)に認めた.再発は2例(18%)に認めた.結語:本術式は,手技が簡便で安全に施行可能であるが,術後の排便障害が高率に生じるため,現行の方法では推奨できない.

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© 2020 日本外科系連合学会
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