日本外科系連合学会誌
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症例報告
エリブリンメシル酸塩が有効であった乳癌腹膜播種の1例
長内 孝之上平 大輔村形 綾乃田波 秀朗
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2020 年 45 巻 2 号 p. 109-113

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抄録

症例は,50歳女性.43歳時に右乳癌(サブタイプ:ホルモン感受性陽性,HER2陰性:Luminal B)対して術前化学療法(レジメ:アルブミン懸濁型パクリタキセル(以下nab Paclitaxel)3週毎投与を4回投与し,その後5FU・Epirubicin・cyclophosphamide,以下FEC)3週毎投与を4回投与した.術前化学療法後温存術を実施した.その後温存乳房への放射線治療と内分泌療法(LHRHアゴニスト製剤と抗エストロゲン製剤tamoxifenの併用)実施した.内分泌療法終了後1年目に手術部位に腫瘤と両側腋窩リンパ節腫大を認め,精査にて局所再発および両側腋窩リンパ節転移と診断した.内分泌治療としてLHRHアゴニスト製剤とAromatase阻害剤にて治療したが,10カ月で局所腫瘤の増大と両側腋窩リンパ節の増大,右上肢のしびれと前腕から手指の動きに制限が出現しており,進行progressive disease(以下PD)と診断した.CDK4/6阻害剤,選択的エストロゲン受容体抑制薬,LHRHアゴニスト製剤へ変更したが,6カ月で局所再発の再増大にて臨床的PDとなった.同時期に嘔気と嘔吐症状が増悪し,腹満感も出現した.精査にて腹膜播種による腸閉塞と診断した.CDK4/6阻害剤および内分泌治療から化学療法に変更した.化学療法としては,エリブリンメシル酸塩を2週に1回投与(以下Biweekly)にて行うこととした.1サイクル終了後には,経口摂取可能となり,画像診断では部分奏効(partial response,以下PR)を維持しており上肢のしびれも消失した.

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