2020 年 45 巻 2 号 p. 114-119
症例は66歳男性.検診で胃腫瘤を指摘され,近医で上部内視鏡検査を施行した.胃前庭部後壁に潰瘍を伴う隆起性病変を認め,潰瘍部周辺からの生検で分化型腺癌と診断された.進行胃癌の疑いで精査加療目的に当科紹介となった.病変の隆起部分は表面平滑で,クッションサイン陽性であり,胃粘膜下腫瘍の合併を疑った.超音波内視鏡検査と超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検にて粘膜下の成分はGISTと診断された.胃GISTの同一部位に合併した早期胃癌と診断し,幽門側胃切除,D1+リンパ節郭清を施行した.病理組織学的検査では,粘膜下層まで浸潤した中分化型胃腺癌と低リスクGISTと診断され,2つの腫瘍の間に正常組織を含んでいることから,それぞれ独立して発生したものと考えられた.2つの異なる腫瘍が同一部位に存在することで,今後の胃癌の発育や進展形式について非常に興味深い症例であり,文献的考察を加えて報告する.