2020 年 45 巻 3 号 p. 203-208
鼠径ヘルニアに対するtransabdominal preperitoneal approach(以下TAPP)法による腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術において,プログリップメッシュ(以下PG)を用いることで,ステイプルによる固定が不要となる.疼痛を軽減し,メッシュのmigrationを防ぎ,コストを削減できるものの,PGを腹腔内に挿入するには,径10mm以上のポート留置が必要であり,ポート挿入部の疼痛および整容性の低下が問題であった.今回われわれはこの欠点を改善するため,PGを5mmのポート創から腹腔内に挿入する方法を考案した.5mmポートを一旦抜去し,ペンローズドレーン内に入れたPGを,5mmのポート創から腹腔内に挿入することができた.それにより,3ヶ所の5mmのポート創のみでPGを用いたTAPP法(以下TAPP-555)を施行することが可能になったので,その手技と成績を報告する.