2020 年 45 巻 4 号 p. 323-329
症例は73歳男性で,嚥下困難に対する精査にて食道癌を指摘された.術前の生検標本では神経内分泌癌と扁平上皮癌の混合型と診断された.術前診断Mt,cT3N0M0,cStage Ⅱに対して食道亜全摘術,2領域リンパ節郭清を施行した.切除標本の病理結果はpT2N0であり,腫瘍は生検標本と同様に神経内分泌癌と扁平上皮癌の混合型であった.神経内分泌癌と扁平上皮癌が混合した症例に対する治療戦略は複雑であり,定まったものがない.われわれは今回,過去の報告を踏まえながら,食道神経内分泌癌と扁平上皮癌の混合型に対する治療戦略を考察し,ここに報告する.