2020 年 45 巻 4 号 p. 330-337
症例は67歳,女性.健診で胃粘膜下腫瘍(submucosal tumor:SMT)を指摘され受診した.上部消化管内視鏡検査で胃穹窿部にDelleを伴うSMTを認めた.生検にてCD34陽性,c-kit陽性でgastrointestinal stromal tumor(以下GIST)と診断した.CT上胃穹窿部に67mm大の軟部腫瘍を認め,根治切除を考慮したが,横隔膜および左副腎への浸潤が疑われたことと,患者の手術希望が得られず,イマチニブ400mg/日を3カ月間投与した.腫瘍は34mmまで縮小し,患者の手術希望も得られ手術の方針となった.画像検査上,局所切除は不能と判断し,ロボット支援下噴門側胃切除術・観音開き法再建を施行した.病理検査では免疫染色上GIST関連抗体すべて陰性で病理学的完全奏効(pathological complete response: pCR)と診断した.現在14カ月間再発なく経過している.今回われわれは,胃GISTに対して術前イマチニブ投与を行い,腫瘍縮小により低侵襲手術を可能にし,切除標本にてpCRを得た症例を経験したので報告する.