2020 年 45 巻 4 号 p. 367-373
症例は80歳女性.黒色便を自覚し受診され,血液検査で貧血を認めた.上下部消化管内視鏡検査で出血源は同定できず,カプセル内視鏡検査を施行し上部空腸内に出血所見を認めた.小腸内視鏡検査でTreitz靭帯より5cm肛門側に20mm大の腫瘍を認め組織生検でGroup5,Adenocarcinomaの結果であった.胸腹部造影CTではリンパ節転移や遠隔転移の所見は認めなかった.以上より,原発性空腸癌に対して腹腔鏡補助下小腸部分切除術,リンパ節郭清術を施行した.腫瘍はTreitz靭帯から肛門側5cmの部位に同定した.腹腔鏡下に十二指腸第4部を授動した後,小開腹下に切除・吻合を行った.病理結果はpStage Ⅰ(pT2(MP),pN0)であった.術後3カ月現在無再発生存中である.
高齢者に発生したTreitz靭帯近傍の原発性空腸癌に対し,腹腔鏡補助下に切除した1例を経験したので報告する.