2020 年 45 巻 6 号 p. 754-758
症例は36歳女性.検診の上部消化管内視鏡検査で胃粘膜下腫瘍を指摘され経過観察されていたが,徐々に心窩部痛が出現してきたため,精査加療目的に当院を受診した.当院での上部消化管内視鏡検査では胃体中部大彎に径20mmの粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡ガイド下穿刺吸引生検を施行したが,上皮や間質組織が採取されておらず確定診断は得られなかった.径20mmを超え,有症状のため,診断を兼ねて外科的切除の方針とした.腹腔鏡下に胃局所切除術を施行した.病理組織学的検査では,漿膜面に突出する径16mmと径8mmの囊胞性病変を認め,囊胞内腔の一部に胃底腺を含む胃粘膜組織を認めた.囊胞周囲には胃の固有筋層から連続する平滑筋層を伴っていた.以上の所見より,胃重複症と診断された.成人における胃重複症の切除例は比較的少なく,文献的考察を加えて報告する.