日本外科系連合学会誌
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症例報告
胃切除術後に出現し保存加療により軽快した門脈ガス血症の1例
今村 宏輝木戸上 真也
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2020 年 45 巻 6 号 p. 759-763

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抄録

症例は81歳,男性.貧血の精査にて胃噴門部後壁に進行胃癌を認め,手術目的に当院を受診した.高齢,併存症を考慮し縮小手術として開腹噴門側胃切除術,D1+リンパ節郭清,ダブルトラクト法再建を行い,腸瘻造設を併施した.手術時間は481分,出血量は880mlであった.術後は炎症反応が遷延し,術後6日目にCRPの異常高値を認めた.腹部CTにて門脈ガスを指摘されたが,発熱や腹部症状は認めず,腸管壊死を示唆する所見を認めなかったため,保存的加療を行った.その後,門脈ガスは消退し,炎症反応も改善した.術後14日目に経口摂取を再開し,術後26日目に軽快退院した.門脈ガス血症は従来,手術の絶対適応と考えられてきたが,近年は保存加療により治癒した症例報告が散見される.今回われわれは,胃癌術後に発症した門脈ガス血症に対し,保存加療により治癒しえた1例を経験したために文献的考察を加えて報告する.

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© 2020 日本外科系連合学会
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