2020 年 45 巻 6 号 p. 769-776
症例は32歳女性,妊娠25週に血性嘔吐を契機に近医受診.精査にてbulkyなリンパ節転移を伴う局所進行胃癌と診断され,加療目的に当院受診.妊娠週数や化学療法が胎児に及ぼす影響を考慮し,可能な限り胎内での発育を確保したく,S-1/DTX療法後に分娩の方針とした.2コース施行後の妊娠35週に2,374gの女児を経腟分娩した.計5コース施行後のCTにて原発巣およびリンパ節の縮小を認め,出産から11週後に胃全摘術(D2+No.10),脾臓摘出術,Roux-en Y法再建を施行した.ypT3N1M0,Stage ⅡB,組織学的化学療法効果はGrade 2であり,現在術後補助化学療法施行中である.妊娠中の胃癌合併は極めて稀で,予後不良である.また妊娠中の化学療法は,妊娠週数や胎児・母体への影響を考慮する必要がある.今回われわれは妊娠中に安全に化学療法を施行した1例を経験し,文献的考察をふまえ報告する.