日本外科系連合学会誌
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症例報告
盲腸epidermoid cystに対し腹腔鏡手術を施行した1例
貝崎 亮二井上 透高塚 聡塚本 忠司
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2020 年 45 巻 6 号 p. 800-806

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抄録

症例は,46歳,女性.右卵巣囊腫の診断で手術を施行したところ,両側卵巣は正常で盲腸に腫瘤を認めた.精査目的に当科紹介となった.腹部MRIおよびCT検査では,骨盤腔右側に約50mm大の囊胞性病変を指摘された.下部消化管内視鏡検査では,盲腸前方に壁外圧排所見があり粘膜下腫瘍が疑われた.腹腔鏡下に観察したところ,盲腸に腫瘍を認め,周囲との癒着はみられなかった.後腹膜から授動後体外へ引き出し,回盲部切除を行った.摘出標本では腫瘍は50×55mm大で弾性軟であった.病理組織的学診断の結果は,内部にケラチン物質を充満した単房性の囊胞性腫瘍で,腫瘍内面には皮膚附属器を伴わない表皮が認められ,epidermoid cystと診断された.盲腸内腔とは交通を認めなかった.

epidermoid cystの報告例は散見するが,盲腸に発生した報告例は非常に稀である.今回,盲腸epidermoid cystの1例を経験したので若干の文献的考察を加えて報告する.

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© 2020 日本外科系連合学会
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