2021 年 46 巻 1 号 p. 56-61
症例は,40歳女性.間欠的な下腹部痛を主訴に受診した.腹部CT検査で小腸重積を指摘され,腹腔鏡下手術を実施した.手術開始時の腹腔鏡所見では明らかな小腸重積は観察されなかった.回腸漿膜が発赤し小腸間膜リンパ節が発赤腫脹している箇所を認め,小開腹創から同部を挙上し,1.5cm大の結節を触知し,良性腫瘍と判断し部分切除を実施した.最終病理結果は,inflammatory fibroid polypであった.一般に成人小腸重積は自然に整復されやすいが再燃されるケースが多く,本症例も該当した.成人腸重積の原因の多くは器質疾患で手術適応となるが,術式は悪性疾患が含まれるので原疾患により適宜変更することが必要になる.今回,原因となったinflammatory fibroid polypの特徴と,成人腸重積症に対する腹腔鏡手術について,文献的考察を加えて報告する.