2021 年 46 巻 6 号 p. 709-716
症例は23歳男性.18歳時より全身にびらん,痂皮を伴う皮疹が出現した.ステロイドなどによる治療を3年以上継続したが改善しなかった.その後,血清グルカゴン高値が判明し,CTで膵腫瘍を指摘されたためグルカゴノーマが疑われ外科紹介となった.ソマトスタチンシンチグラフィを含む画像所見では,膵尾部に39mm大の多血性腫瘤を認めた.リンパ節転移や他臓器への転移は認めなかった.腹腔鏡下膵体尾部切除術を施行し,病理所見ではグルカゴンの免疫染色は部分陽性であった.術直後に血清グルカゴン値は基準値範囲内に戻り,術後8日目に皮疹は改善した.術後2年経過した現在も再発なく健在である.
グルカゴノーマとして特徴的な臨床所見を認めるにもかかわらず,免疫染色では腫瘍におけるグルカゴン産生を十分に証明できない1例を経験した.グルカゴノーマの診断における免疫染色の意義について,文献的考察を加え報告する.