2022 年 47 巻 2 号 p. 160-168
症例は75歳男性で,S状結腸癌に対してS状結腸切除術+D3リンパ節郭清を施行した.病理組織学的所見ではpT3(SS),pN0,pM0,pStage Ⅱであった.S状結腸癌術後1年6カ月にCTにて膵体尾部にring enhanceを伴う腫瘍性病変を認め,転移性膵癌もしくは原発性膵癌と判断し膵体尾部切除術+D2リンパ節郭清を行った.病理組織学的にS状結腸癌と同所見であったため膵転移と診断した.術後4年経過後,無再発生存中である.大腸癌の孤立性膵転移は比較的稀であり,十分な検討がなされていない.文献的考察を加え報告する.