【背景】デスモイド腫瘍は組織学的には良性腫瘍だが浸潤性発育や局所再発をきたす良悪性境界型の腫瘍である.稀な腫瘍で特徴的な画像所見に乏しく,悪性疾患の術後は再発を否定できず術前診断に難渋することが多い.われわれが経験した大腸癌術後の腸間膜デスモイド腫瘍の2例について報告する.
【症例1】65歳男性.上行結腸癌術後2年目のCT検査で横行結腸間膜に42mmの不整型腫瘤を認め切除術を行った.
【症例2】70歳男性.肝転移を伴う下行結腸癌の術後1年目のCT検査で空腸間膜に14mmの腫瘤を認め切除術を行った.
【考察】2例とも画像所見からは播種再発を否定できず手術を行った.デスモイド腫瘍の治療に関して近年は“wait and see policy”が推奨されている.一方,腹腔内発生例では生検が難しく実臨床では外科的切除が行われることが多い.本例においてもMRIのT2強調像を詳細に確認し低信号域の点在を確認することで適応となりえた.
【結語】大腸癌術後に認めた腸間膜デスモイド腫瘍の2例を経験した.
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