日本外科系連合学会誌
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症例報告
子宮頸部高度扁平上皮内病変による子宮全摘術後に発見された腟癌の1例
小口 早綾新井 ゆう子佐藤 豊実
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2022 年 47 巻 4 号 p. 591-595

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抄録

症例は72歳の女性で,62歳時に子宮頸部高度扁平上皮内病変(HSIL)が疑われたが,Human papillomavirus(HPV)18型陽性以外の異常はなかった.70歳時に再度HSILが疑われ,円錐切除術を施行し,病理学的にHSILで腟側,子宮側ともに切除断端陰性と診断された.円錐切除後の細胞診でHSILの残存が疑われ,子宮全摘術を施行したが遺残はなかった.術後1年後の腟断端細胞診異常から腟癌と診断され,HPV18型の存在も確認した.放射線療法後1年4カ月を経て無病生存中である.本症例はHPV18型の持続感染が腟癌発症の契機であったと考えられた.子宮頸部細胞診異常では,子宮頸部病変に気を取られがちだが,稀とは言え同時発生の腟病変も充分に探索する必要がある.

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© 2022 日本外科系連合学会
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