2023 年 48 巻 2 号 p. 150-156
症例は70歳の男性.転倒から約1カ月後に腹部症状が増悪し救急搬送された.腹部造影CTにて肝右葉の大部分を占めるような巨大肝囊胞と肝周囲に腹水貯留を認めた.腹膜刺激症状を呈していたことから,破裂巨大肝囊胞による腹膜炎の診断のもと,緊急腹腔鏡下肝囊胞天蓋切除術を施行した.術後経過は良好であり,術後8日目に退院した.緊急手術が必要となる破裂巨大肝囊胞においても,通常の巨大肝囊胞に対する腹腔鏡下天蓋切除術と同様に,安全で低侵襲な術式選択が可能であると考えられた.