2024 年 49 巻 1 号 p. 35-41
症例は65歳男性.COVID-19と診断され当院内科に入院.全身状態は軽症のまま経過していたが,入院第9病日の朝から間欠的な下腹部痛の訴えあり.その後も腹痛は持続し,2日後に腹膜刺激徴候が明らかとなったため当科へ紹介.単純CTで小腸の広範にわたって壁内気腫を認め,腸管壊死の診断で緊急手術を施行した.開腹すると,小腸の大部分に全層性の壊死を認め,同領域の腸間膜にも血流が乏しく,上腸間膜動脈閉塞症と診断した.トライツ靭帯から25cmおよび回腸末端から15cmの小腸を温存し広範な小腸切除を施行,空腸人工肛門を造設した.術後経過は概ね良好で,術後に施行した腹部造影CTでは上腸間膜動脈は根部で閉塞していた.COVID-19による凝固能亢進の病態は未だ不明な点が多いが,血栓症のリスクが上昇することが知られており,本症例も発症時期などからCOVID-19との関連が強く疑われた.