2024 年 49 巻 1 号 p. 29-34
症例は82歳の男性で,検診で前立腺肥大を指摘され,前医の泌尿器科を受診した.腹部CT検査を行ったところ約10cm大の脾腫瘤を指摘され,同院の内科へ紹介となった.血清可溶性IL-2受容体が高値であったため,脾悪性リンパ腫が疑われた.診断目的で切除を勧められたが希望されなかった.その後前医で2年間フォローされていたが,腫瘤の緩徐な増大傾向と血小板減少も認めるようになったため,切除目的で当科へ紹介となり,用手補助下での腹腔鏡下脾臓摘出術を施行した.切除標本では,腫瘤は脾臓の上極に位置し,13cm大で,その内部には黒褐色の液体と壊死物質を認めた.病理組織学的検査では,赤脾髄を主体にリンパ球の浸潤を伴い,免疫組織学的にCD3(-),CD5(-),CD10(+),CD20(+),BCL2(+),BCL6(-)などの所見からHairy cell (HC)白血病と診断された.今回われわれは,術前に悪性リンパ腫と診断したが,病理学的所見によりHC白血病と診断された1例を経験した.HC白血病は邦人においては稀である.また脾腫瘤として発見されるケースはさらに稀であり,若干の文献的考察を加えて報告する.