2024 年 49 巻 2 号 p. 88-94
われわれは子宮広間膜裂孔ヘルニア(本疾患)を経験した.本例を含め,既報の274例を検討したので併せて報告する.症例は60歳女性で,強い下腹部痛で来院した.右鼠径部に膨隆あり,同ヘルニア嵌頓を疑い腹腔鏡下に緊急手術を行った.右鼠径管ではなく子宮広間膜裂孔に小腸が嵌頓していた.左卵管を切断し嵌頓を解除の後,小腸を部分切除し子宮広間膜裂孔を閉鎖した.術後は軽度の創感染以外は順調に経過した.本疾患の発症年齢は1~94歳で平均48歳であった.原因は先天性,妊娠,出産,炎症性疾患,手術の既往などであった.裂孔はHuntの分類ではF型が多く,Cilley-Fafet分類ではtype1が半数を占めた.Hunt P型はRichter型嵌頓率,Cilley-Fafet 3型で円靭帯切除率,4型で卵管切除率が高かった.本疾患は良性でかつ術前の画像診断が困難なことから,診断をかねての腹腔鏡手術は良い適応と思われる.