2024 年 49 巻 4 号 p. 382-389
症例は23歳女性.既往歴なし.心窩部痛を主訴に受診し,精査の結果,胃前庭部大彎側に胃の固有筋層を供する2.5cm大の囊胞性腫瘤を認め,胃消化管重複症の疑いで手術を施行した.手術は腹腔鏡下胃局所切除を施行した.囊胞性腫瘤と共有する胃の固有筋層と粘膜下層の間を剝離・切除し,筋膜欠損部は有棘糸での連続縫合で閉鎖した.標本検体は胃との交通は認めず,病理結果で囊胞内に胃底腺上皮や胃体部腺を含む粘膜と,胃の固有筋層を供する筋層,およびランゲルハンス島を認め,胃消化管重複症の診断となった.
消化管重複症は舌根部から肛門までのどの部位からも発生しうる先天性疾患である.発生部位は,空腸・回腸が約35~53%と最も多く,胃の消化管重複症は3~8%と稀である.多くは腹痛などの症状で小児期に発症し,成人発症は少なく,成人の胃消化管重複症に対して腹腔鏡手術を行った報告も少ない.今回,腹腔鏡下に切除しえた成人胃消化管重複症を経験したため報告する.