2024 年 49 巻 4 号 p. 390-397
症例は18歳男性.交通事故により腹部を打撲,翌日より嘔吐が出現し当院救急外来を受診した.腹部CTで十二指腸下行脚から水平脚背側に広がる血腫を認め,胃と十二指腸は著明に拡張していた.外傷性十二指腸壁内血腫による十二指腸閉塞と診断し,中心静脈栄養と胃内減圧による保存加療を開始した.第11病日に腹部CTを再検すると血腫の増大を認め,体表直下に血腫を確認できたため超音波ガイド下に経皮ドレナージを施行した.経皮ドレナージで血腫は速やかに縮小した.外傷性十二指腸壁内血腫は消化管通過障害を合併しても保存的治療で軽快することが多いが,稀に保存的治療が長期化することもある.経皮ドレナージは超音波ガイド下に穿刺でき,排液の観察や洗浄が可能で,ドレーンの交換が容易であるという利点がある.周辺臓器の合併損傷がなく体表から安全な穿刺経路が確保できる症例においては経皮ドレナージは治療期間短縮を期待できる有効な選択肢となり得ると考える.