2024 年 49 巻 5 号 p. 435-440
30代女性.妊娠12週に左乳房C区域に腫瘤自覚し来院.患者は,8年前に,右トリプルネガティブ乳癌(以下,TNBC)に対して右乳房部分切除術+センチネルリンパ節生検施行され,pT2pN0cM0 pStageⅡAの診断であった.術後補助化学療法として,ドキソルビシン・シクロホスファミド(以下,AC)4コース,weeklyパクリタキセル(以下,wPTX)12コース投与後に,放射線治療歴があった.今回は,invasive ductal carcinoma,ER(0),PgR(0),HER2(0),MIB-1(80%)異時性対側TNBCの診断で,手術+術後化学療法とした.妊娠15週に左乳房全切除術+腋窩郭清術施行し,pT2pN0cM0 pStageⅡAであった.妊娠21週から循環器科,産婦人科併診のもとAC4コース投与した.問題なく経過し満期出産,産後3週間でwPTXを開始した.アンスラサイクリンは,不可逆的な心機能低下をきたすことがあり,総投与量の決定に注意を要する.本症例はAC再投与かつ妊娠中のため,心不全発症リスクが高く,薬剤決定について議論を要したが,多職種と連携をとりながら,治療完遂可能であったため報告する.