2024 年 49 巻 5 号 p. 460-466
症例:76 歳,女性.増大傾向がある左卵巣腫瘍のため当院婦人科に紹介となった.画像検査で卵巣腫瘍は小腸腫瘍の可能性があり,これとは別に三管合流部近傍の肝門部領域胆管から遠位胆管にかかる部位に腫瘍を認め,この胆管腫瘍は転移か胆管原発癌の可能性もあり外科に紹介となった.CT,MRIで充実性腫瘍として指摘されPET-CTでは集積を認め,卵巣腫瘍あるいは小腸腫瘍,ならびにこれを原発とする胆管周囲転移あるいは胆管原発癌の診断で手術を施行した.術中生検で卵巣腫瘍は良性の診断であったが胆管腫瘍は腺系細胞が密に増殖しており高分化腺癌も否定できないといった診断であり,このため腫瘍摘出術を施行した.摘出標本の病理組織で胆管粘膜は保たれており粘膜下腫瘍と診断された.免疫染色では Synaptophisin 陽性,ChromograninA 陰性であった.以上より肝外胆管神経内分泌腫瘍(Neuroendocrine tumor:NET,G1)と診断された.術後7年経過しているが再発なく外来通院されている.胆道原発の NET の報告は稀であり,今回われわれは,肝外胆管腫瘍に対し手術を行い,病理組織学的検査で肝外胆管原発 NET であった症例を経験したので,文献的考察を加えて報告する.