2024 年 49 巻 5 号 p. 467-474
腫瘍径が19 cmに及ぶ巨大な膵退形成癌の切除例を経験した.症例は61歳の女性で,腹部膨隆を主訴としCT検査で左上腹部に巨大後腹膜腫瘍を認めた.超音波内視鏡下での針生検で線維組織球主体の非上皮性悪性腫瘍を疑い,幽門側胃切除を伴う膵体尾部切除兼脾臓合併切除を施行した.摘出標本の病理所見から多形細胞型の膵退形成癌と最終診断した.膵退形成癌は多血性腫瘍であり局所で膨張性に急速増大するため通常型膵癌より腫瘍径が大きい傾向があり,増殖速度が速いことから長期予後は一般に不良である.また巨大腫瘍では胃や結腸などの周囲臓器の合併切除を要する場合が多い.本疾患は腫瘍局在や腫瘍内出血により大型化することがあることを念頭に置き,治癒的手術をめざした積極的外科的切除が長期予後を獲得するために重要であると考えられた.