日本外科系連合学会誌
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症例報告
腹腔鏡観察下に鼠径部切開法で切除したNuck管水腫の2例
三井 範基山田 誠丹羽 真佐夫棚橋 利行八幡 和憲
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2024 年 49 巻 6 号 p. 525-531

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抄録

Nuck管水腫に対する手術は鼠径部切開法による手術に始まり,近年は腹腔鏡手術の報告もみられる.当院は鼠径部切開法を基本とするが,腹腔鏡観察下に鼠径部切開法で切除した症例を2例経験した.症例1は47歳女性.右鼠径部にCTで囊胞状の病変があり,Nuck管水腫が疑われた.腹腔鏡では内鼠径輪部とその近傍に飛び石状に病変を認めた.症例2は37歳女性.左鼠径部に超音波検査で鼠径ヘルニアを疑われた.腹腔鏡では左内鼠径輪に腹腔側に突出する暗紫色の囊腫を認め,Nuck管水腫が疑われた.いずれの症例も腹腔鏡観察下に鼠径部切開法で病変の損傷なく切除した.Nuck管水腫は遺残部からの再発や子宮内膜症の合併,稀に腺癌の報告があり,水腫を損傷せずに切除すべきである.完全腹腔鏡下での報告もみられるが,やや高度な技術を要する点,妊孕性の温存を希望される患者への配慮の点から,腹腔鏡観察下に鼠径部切開法での切除は安全な手段の一つと考えられた.

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