2024 年 49 巻 6 号 p. 516-524
Solid pseudopapillary neoplasm(SPN)との鑑別が困難であった石灰化を伴う膵単純性囊胞の1例を経験した.症例は49歳女性,腹部膨満感と背部痛を主訴に前医を受診し,CT,EUSにてSPNが疑われ精査加療目的に当院紹介受診した.腹部造影CTで膵尾部に辺縁石灰化を伴う境界明瞭な囊胞性病変を認め,MRIのT1強調像で内部不均一な低信号を示し,EUSで囊胞性病変と膵管との交通は明らかでなく主膵管の拡張も認めなかった.カラードプラでは囊胞内部に血流信号を認めた.以上からSPNを疑い,腹腔鏡下脾臓合併膵体尾部切除を施行した.病理組織所見では異形に乏しい単層の扁平上皮に被覆された囊胞であり,石灰化を伴う線維性の囊胞壁を有し,偽乳頭状増殖は認めず,単純性囊胞と診断した.石灰化を伴う膵単純性囊胞は稀な疾患であり診断に苦慮することがある.膵囊胞性疾患のうち非腫瘍性真性囊胞の分類の明確化と疾患名の統一が,本疾患の鑑別,およびさらなる病態解明に必須であると考えられた.