日本外科系連合学会誌
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症例報告
11年間鼠径部囊胞として経過観察されたのちに嵌頓をきたした大腿ヘルニアの1例
古賀 千絢鈴木 陽三野間 俊樹萩原 清貴山下 雅史柳本 喜智池永 雅一清水 潤三川瀬 朋乃今村 博司
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2024 年 49 巻 6 号 p. 539-544

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抄録

症例は89歳,女性.鶏卵大までに膨隆する右鼠径部腫瘤を主訴に11年間で計3回当院外来を受診し,理学所見・CTで鼠径部囊胞の診断で経過観察されていた.継続する腹痛と嘔気・嘔吐を主訴に救急外来を受診し,理学所見上右大腿部に緊満し還納不能な膨隆を認め,CTで右大腿管に脱出する小腸を認めたことから右大腿ヘルニア嵌頓と診断し緊急手術を行った.単孔式腹腔鏡下ヘルニア嵌頓解除術で嵌頓を解除し,嵌頓小腸が壊死していたため小腸部分切除術を追加した.その後,二期的に単孔式腹腔鏡下全腹膜前到達腹膜前大腿ヘルニア修復術を行い,現在,無再発経過中である.鼠径部囊胞の診察・診断は未治療大腿ヘルニア囊が含まれ得ることを念頭に慎重に行うことが肝要で,大腿ヘルニアの可能性が高いと判断した際には可及的速やかに待機的手術を行うことが望ましいものと考えられた.

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