日本外科系連合学会誌
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大動脈縮窄症に施行したバルーン拡張術により発症した急性大動脈解離の1手術例
荻原 正規許 俊鋭常本 實朝野 晴彦横手 祐二尾本 良三小池 一行小林 俊樹
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1994 年 19 巻 4 号 p. 110-114

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抄録

5カ月, 女児。心室中隔欠損症, 大動脈縮窄症により心不全, 呼吸不全を呈し呼吸器離脱困難であった。大動脈縮窄症に対してバルーン拡張術を施行したところ急性動脈解離が発生した。術後, intimal flapの動揺によると考えられる腹部臓器, 下肢の血行障害が出現したため外科的修復を行った。 手術では, 内腔は大動脈縮窄部を中心としてほぼ全周性の動脈解離を認めた。中枢側への進展は軽度であったが, 末梢下側は解離により真腔は圧迫されていた。末梢側の解離した内膜, 外膜を合わせるように修復し, さらに左鎖骨下動脈を用いたSubclavian Flap法により縮窄部の修復を施行した。 大動脈縮窄症に対するバルーン拡張術により発生した動脈解離に対して, その血行動態から外科的修復を余儀なくされ, 手術により救命し得た1例を経験した。

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