日本外科系連合学会誌
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出血性ショックにおける人工赤血球ネオレッドセルの効果
薄場 彰元木 良一
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1995 年 20 巻 4 号 p. 255-258

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抄録

ヘモグロビンをマイクロカプセル内に封入し, 赤血球の代わりに酸素運搬体として利用する人工赤血球ネオレッドセル (NRC) を開発した。基礎実験では急性毒性, 慢性毒性ともに認めず, 凝固系や補体系を活性化せず, 1週間以内に代謝され網内系の貧食能も障害されず安全であった。NRCは出血性ショックに対し末梢血管抵抗を減少させ心指数を増加させた。また, 完全体外循環でも血管抵抗を著明に減少させた。NRCの粘度が血液と比較して極めて低いので末梢循環が改善したためと思われた。NRCはまた酸素運搬能でも同一ヘモグロビン濃度の赤血球の2倍以上運搬した。イノシットヘキサ燐酸の添加により酸素結合量が倍増した結果と思われた。以上NRCは安全でしかも出血性ショックや体外循環で赤血球を越える効果を示した。

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