1995 年 20 巻 4 号 p. 331-335
続発性上皮小体機能亢進症による骨関節痛を主訴とした66例に対し上皮小体摘除術を施行した。術後, 自覚症状による骨関節痛は改善群は44例, 非改善群は22例で, 改善率は66.7%であった。両群間で, 年齢, 透析期間および摘除総重量に有意差はなかったが, 男女比において非改善群は女性の頻度が高かった。血清Ca, イオン化Ca, ALP, C末端PTHの術前値および術後の変化を比較したが有意差はなく, 血液化学検査のみで手術適応を決め得る有用なパラメーターはなかった。骨塩密度は術前値には有意差はなかったが, 改善群では後有意の増加がみられた。一方, 非改善群は術後も低値のままであった。骨関節痛に対する上皮小体摘除術の適応は血液化学検査, 骨X線での線維性骨炎の有無を中心として総合的に決定するが, 判断の困難な症例では骨塩量測定が補助診断として有用である。