日本外科系連合学会誌
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小児肝腫瘍における外科治療の意義
浜田 吉則加藤 泰規高田 晃平佐藤 正人岡村 成雄真田 俊明辻 正純古形 宗久日置 紘士郎
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キーワード: 小児, 肝癌, 肝切除, 化学療法
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1995 年 20 巻 4 号 p. 336-339

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抄録

小児肝癌における外科的治療の意義を, 肝切除施行例と非切除例との比較から臨床的に検討した。対象は小児肝癌8例で, 肝芽腫6例, 成人型肝癌2例であった。非切除の4例はいずれもT4によるStage III B以上で肝切除不能例であった。VCR, CPA, ADR, CDDPなどによる動注あるいは全身化学療法を施行したが, 治療開始後3から14カ月で死亡した。切除4症例はすべて肝芽腫で, うち3例にCDDP, ADM, VCR, CPAを主体にした全身化学療法と肝動注を術前に施行した。腫瘍が残存したStage III Bの1例は術後11カ月で死亡したが, 完全に腫瘍を切除できた症例では術後7年, 3年の現在再発なく健在である。小児肝癌の長期生存に腫瘍の外科的完全切除が必要条件であるが, 化学療法との組合せも治療上非常に重要であると考えられた。

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