日本外科系連合学会誌
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食道胃静脈瘤治療後の血行動態の検討
再発, 胃粘膜病変発現の機序について
仁木 基裕阿部 英雄高本 雄幸上田 仁都築 秀至小峰 文彦宮川 正秀黒須 康彦
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1996 年 21 巻 2 号 p. 162-169

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抄録
食道胃静脈瘤治療後の再発, 胃粘膜病変発現の機序について血管造影所見より検討を行った。手術施行例での再発は, 消化管切除離断部の組織連続性の再構築により, 血流が残存する静脈腔に再開通して起こるものと考えられた。しかし, 術後の再発静脈瘤は血流が乏しく, 硬化療法の追加で容易に治療し得た。硬化療法は食道胃静脈瘤以外の既存または新たな側副血行路の増生により, 門脈血流の大循環系への逃げ道ができた場合に, 再発も少なく大きな治療効果が得られた。一方, 逆にこのような側副血行路の増生が少ないものでは, 門脈血流が再度, 食道下部噴門部に逃げ場を求めるために, 硬化療法での静脈腔の閉塞が不完全なものでは再開通をきたし, あるいは粘膜表層の小血管が拡張することで再発が起こるものと考えられた。胃びらんなどの胃粘膜病変は, 手術例, 非手術例ともに逃げ場を失った門脈血流のうっ滞による粘膜血流の減少が発生の一要因と考えられた。
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