抄録
虫垂腫瘍は特徴的な臨床所見に乏しく, また鑑別すべき疾患も多いためその術前診断には苦慮することが多い。今回われわれは, 術前検査にて虫垂腫瘍を疑い, 腹腔鏡検査にて虫垂腫瘍と確定診断したものの虫垂癌の可能性を否定できなかったため, 引き続き腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行し, 良好な経過を得た症例を経験したので報告する。症例は64歳, 女性。右下腹部痛を主訴に来院した。注腸造影検査にて虫垂腫瘍を疑われたため腹腔鏡検査を施行した。虫垂に比較的限局した腫瘍性病変の診断は確定的であったが, 良悪性の鑑別までは困難であったため虫垂癌の可能性も考え, 第2群の一部までのリンパ節郭清をともなう腹腔鏡補助下回盲部切除術を施行した。術後の病理組織学的検査では虫垂粘液嚢胞の診断であり, 虫垂癌は否定的であったが, 仮に本症例が虫垂癌であったとしても, 腹腔鏡補助下手術で十分根治し得たものと考えられた。