日本外科系連合学会誌
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食道・胃静脈瘤に対する内視鏡的治療法
小原 勝敏
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1997 年 22 巻 2 号 p. 141-147

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抄録

食道・胃静脈瘤の治療法には各種内視鏡治療, IVRによる各種治療法, 外科治療と多くの選択肢があり, 適切な治療法を選択できる時代を迎えた。しかし, 静脈瘤治療は基礎疾患の治療ではないので, 安全かつ効果的治療でなければならない。硬化療法の導入は本邦における内視鏡治療の幕開けとなった。硬化療法は短期間にめざましい進歩を遂げ, 安全かつ確実な治療法として完成され, 静脈瘤治療の第1選択となった。一方, 硬化療法禁忌例に対する食道静脈瘤結紮術や孤立性胃静脈瘤治療における組織接着剤 (cyanoacrylate系剤) の導入は, 静脈瘤に対する内視鏡治療の適応をさらに拡大させた。今や, 静脈瘤治療は安全でかつ出血再発のない治療法であること, さらに患者のQOLを考慮した治療法であることが要求される。そのためには, 1つの治療法に固執することなく, 患者の病態に応じた合理的な治療法を選択, あるいは併用して確実な治療を行うことが大切である。

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