1997 年 22 巻 2 号 p. 215-218
外科的治療を行った36例の腎盂尿管癌について, その生命予後と膀胱癌の随伴 (併発, 続発) とを中心に検討した。腎盂尿管癌の生存率は1年0.859, 3年0.713, 5年0.615であったが, 生命予後を左右する因子は組織分化度よりも, 進展度が優位であった。また膀胱癌を併発していた9症例では, 予後不良の傾向がみられたが, 有意差はなかった。初回手術後の累積膀胱続発率は1年0.123, 3年0.3238と5年0.420であった。続発率は分化度および進展度には関係なく, 膀胱癌を併発していた症例では有意に続発率は高かった。膀胱癌の続発は生命予後に影響を与えていなかった。