1997 年 22 巻 2 号 p. 219-223
三次元画像を形成外科領域の三次元計測や定量評価, 手術シミュレーション等に応用するため, われわれは, laser light scanner (LLS) による表面計測とcomputer graphics (CG) を利用した画像処理を行い, 興味ある知見を得ている。方法は, Cyberware社LLSでカラー表面計測し, IRIS Indigo (Silicon Graphics) で処理したのち, (1) 顔面, 胸部領域の三次元画像表示, 計測, 術前後の評価, エデュケーション, シミュレーション, (2) milling machineによる実体モデルの応用, (3) CG照明モデルによる顔面形態, 輪郭や顔面神経麻痺の評価を行った。3次元画像は, 視覚的効果が大きく, 病態の理解や把握が容易となり, 診療記録の一部として今後活用されるものと思われた。本法による計測は, 患者負担を軽減し, また新たな評価法の開発が示唆された。実体モデルによるエピテーゼは, 患者の負担が少ないのに加え, 座位・開瞼状態で型取りができるため, 形態的にもより理想に近い製品を作製することができる。3D照明モデルでは, 光源や観察方向を任意にシミュレートでき, 視覚・心理的効果, さらに表情を加味した新しい視点からの顔面輪郭や表情の観察, 計測, 評価法のひとつとなるものと思われた。