日本外科系連合学会誌
Online ISSN : 1882-9112
Print ISSN : 0385-7883
ISSN-L : 0385-7883
胆道造影所見よりみた異所肝管症例の胆摘術の問題点
上田 順彦小西 一朗広野 禎介
著者情報
ジャーナル フリー

1997 年 22 巻 2 号 p. 237-241

詳細
抄録

過去9年7ヵ月間に当科で経験した異所肝管症例20例を対象に術前胆道造影所見よりみた胆摘術に際しての問題点を検討した。20例の型別の例数はI型3例 (15%), II型2例 (10%), III型9例 (45%), IV型2例 (10%), V型4例 (20%) であった。異所肝管の支配肝区域は後区域16例 (80%), 前区域4例 (20%) であった。異所肝管損傷は2例で, 型別ではI型とIII型の1例ずつであった。この2例の術前胆道造影はDICで, 術前には異所肝管の走向および胆嚢管の分岐形態が把握されていなかったが, retrospectiveな検討では造影されていた。一方, 術前これらの関係が描出されなかった4例でも, 詳細な読影により2例は異所肝管の認識と胆嚢管の合流関係が類推された。異所肝管の損傷防止には術前の胆管像の読影に際して異所肝管を含めた胆管枝の合流形態や胆嚢管の分岐形態の把握に意識を持ち, 読影に精通することが重要である。

著者関連情報
© 日本外科系連合学会
前の記事 次の記事
feedback
Top