日本外科系連合学会誌
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胸部食道癌手術後2年目に発生した食道異時性多発癌の1治験例
桜井 健一秦 怜志天野 定雄森 健一郎萩原 紀嗣榎本 克久杉藤 公信秋山 太津男黒須 康彦野崎 幹弘佐々木 健司
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1997 年 22 巻 2 号 p. 242-246

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抄録

胸部食道癌の手術後2年目に頸部食道に発生した異時性多発癌に対して, 胸骨縦切開を付加し, 遊離空腸移植により再建を行った1治験例を経験したので報告する。症例は60歳男性, 2年前にIm領域の胸部食道表在癌にて右開胸開腹, 胸部食道全摘術, 頸部食道胃管物吻合術を受けている。術後経過観察中に上部消化管内視鏡検査にて頸部食道に直径2cmの1型腫瘤を指摘され, 食道異時性多発癌の診断にて手術を行った。術野を確保するために胸骨縦切開を施行した後に喉頭を温存し腫瘍を摘出した。断端陰性を確認した後, 再建に遊離空腸移植を用いた。術後経過は良好であった。最近の集学的治療の進歩などによる食道癌の予後の向上に伴い, 再発癌や重複癌および異時性多発癌が増加することが予想される。これらを念頭におき, 術後の厳重なfollow upを行い, 早期発見による積極的治療が有効であると考えられた。

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