日本外科系連合学会誌
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壊死型虚血性大腸炎の検討
山内 希美田辺 博可知 宏隆
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1997 年 22 巻 2 号 p. 247-253

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抄録

汎発性腹膜炎を呈した壊死型虚血性大腸炎の3例を経験したので文献的考察を加え報告する。症例1 : 73歳, 男性。既往歴として高血圧, 痛風・突然下腹部痛と下血が出現した。直腸に限局して壊死性変化を認め, 壊死腸管は小骨盤腔に連続していたため腹会陰式直腸切断術を施行した。症例2 : 83歳, 男性。既往歴に慢性肝炎, 狭心症, 肺気腫。突然腹痛を覚えた。下行結腸が広範に壊死に陥っており, 壊死腸管を切除するHartmann手術を施行した。症例3 : 68歳, 男性。既往歴に脳梗塞, 糖尿病, 心不全, 高血圧・貧血の精査のため入院中, 突然腹痛が出現した。上行結腸に壊死腸管と穿孔部を認めたため右半結腸切除術を施行した。病理組織所見は3症例いずれも壊死型血性大腸炎であった。虚血性大腸炎は高血圧, 心疾患, 糖尿病など基礎疾患が先行することが多く, 特に重篤化する壊死型のものは注意を要する。高齢者で基礎疾患をもつ腹痛所見には細心の注意を要すると思われた。

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