日本外科系連合学会誌
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早期胃癌と胆管細胞癌の同時性重複癌の1例
柴地 隆宗久永 倫聖大橋 一夫中島 祥介金廣 裕道中野 博重
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キーワード: 重複癌, 胆管細胞癌, 胃癌
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1999 年 24 巻 1 号 p. 104-107

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抄録

早期胃癌と胆管細胞癌の同時性重複癌を経験し, 一期的に切除し得たので報告する。症例は72歳, 男性。主訴は発熱・腹痛であった。入院時検査所見ではCA19-9が59.8U/mlと軽度上昇を示したが, 他の血液生化学検査には異常を認めなかった。上部消化管造影および胃内視鏡にて幽門洞小彎後壁にIIc型早期胃癌を認めた。腹部CTでは肝左葉S2に約2 cm大のlow den-sityを示す腫瘤および末梢胆管の拡張が認められた。手術は幽門側胃切除及び肝左葉切除術を施行した。病理組織学的に胃病変は深達度smの乳頭腺癌, 肝病変は管状腺癌を示す胆管細胞癌であり, 同時性重複癌と診断した。画像診断学の進歩に伴い重複癌症例は次第に増加する傾向にある。しかし, 胃癌と肝内胆管癌の同時性重複癌の報告は極めて稀であり, 文献的考察を加えて報告する。

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