抄録
術後の吻合部狭窄を予防する目的で, 頸部での食道胃管吻合に対して, 3次元吻合であるDouble Stapling法を36例に臨床応用し, 術後の臨床成績について検討したので報告する。術後合併症では術後出血は1例も認めず, 縫合不全は4例 (11.1%) に認めたが, 2例は造影剤による検査で漏れを確認できず, 空気の漏れを認めた程度であり, 4例とも保存的に加療し軽快した。術後に経内視鏡的にメジャー鉗子を使用して, 吻合部の内径を測定した。DS法を行った36例のうち, 22例に測定を行い, その内径は平均16.3±4.9mmであった。これに対し, 環状吻合だけの症例20例の内径は平均8.3±3.2mmと, DS法を行った症例の方が有意に内径が広かった (p<0.0001) 。術後につかえ感を訴えた症例は1例もなく, 術後に拡張術を必要とした症例も皆無であった。以上より, このDS法は術後の狭窄予防の術式として合併症も少なく, 吻合部内径も十分確保され, 有用であった。