抄録
1982年から96年までの15年間における初発大腸癌922例の中で, びまん浸潤型大腸癌は3例 (0.3%) であった. 症例1は66歳, 男性で占居部位はRb, 腹膜播種と骨転移があり, 病理ではPor, ss, ly3, v1, n2 (+), ew (+) でstageIV, 術後1ヵ月で死亡した。症例2は63歳男性で, 占居部位はRa, 病理ではPor, se, ly3, v2, n3 (+), ew (+) であり, stageIIIb, 術後7ヵ月で局所再発死亡した。症例3は68歳, 男性で, 占居部位はRb, 病理ではPor, se, ly1, v0, n2 (+), ew (+) であり, stageIIIb, 術後13ヵ月で局所再発で死亡した。びまん浸潤型大腸癌の3例は, いずれも占居部位が直腸であり, 組織型は低分化腺癌, リンパ管侵襲とリンパ節転移が高度であり, 根治度Cで予後は著しく不良であった。