日本外科系連合学会誌
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肝癌, 胆嚢癌合併患者の胆嚢全層切除, 脾摘後に発症した難治性腹水に対してTIPSが有効であった1例
堀口 明彦宮川 秀一花井 恒一水野 謙司三浦 馥
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1999 年 24 巻 2 号 p. 238-241

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抄録
肝硬変, 肝癌, 胆嚢癌合併患者に対して胆嚢全層切除, 脾摘後の大量難治性腹水に対して, Transjugular intrahepatic portosystemic shunt (以下TIPS) が有効であった1例を経験したので報告する。症例は55歳の女性で肝機能障害で通院中, 腹部超音波で肝と胆嚢に異常を指摘され紹介入院となった。血液検査で血球減少を認めた。CTで肝右尾状葉の腫瘤と胆嚢底部に充満した腫瘤を認めた。内視鏡的逆向性膵胆管造影で胆嚢底部の隆起性病変と, 膵胆管合流異常を認めた。以上より, 肝硬変, 肝癌, 胆嚢癌の重複癌と診断した。血球減少に対して, 部分的脾動脈塞栓術を施行し, 血小板は15×104/mm3まで上昇した。肝機能が不十分なため, 肝癌に対しては内科的治療を行い, 胆嚢全層切除術, 脾摘術を施行した。術直後から急激な腹水増量が出現したため, TIPSを施行した。その後, 腹水は減少し, 肝機能も改善した。
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