日本外科系連合学会誌
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腹部鈍的外傷による胆嚢損傷の2例
森田 敏弘熊沢 伊和生堅田 昌弘山田 慎
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1999 年 24 巻 2 号 p. 242-246

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抄録
胆嚢は解剖学的な位置関係から外力による損傷を受けにくい臓器とされており, 本邦での胆嚢損傷の報告は, 44例をみるにすぎない。今回われわれは, 胆嚢損傷の2例を経験したので報告する。症例1は15歳, 男性。落下により上腹部を強打し, 右上腹部激痛を訴え来院した。腹部CT検査にて胆嚢周囲の液体貯留が認められた。開腹すると, 胆嚢底部に小指頭大穿孔が認められた。症例2は51歳, 男性。交通事故にて上腹部と胸部を強打した。右上腹部激痛と呼吸困難を訴え来院した。腹部超音波検査, 腹部CT検査にて胆嚢周囲に液体貯留が認められた。開腹すると, 胆嚢周囲漿膜下に広範に胆汁の浸潤がみられたが, 胆嚢に穿孔は見られず, 胆嚢粘膜の亀裂が認められた。いずれも胆嚢摘出術を施行し, 経過良好であった。
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